2017.1.4(水) - 3.26(日) 『大嵩禮造抽象画の歩み展 ―白・青色の諧調の変化と堅個な画面構成―

大嵩禮造は南国的風土を表現するには、対極としての冷たさを知ることが必要との視点から、一貫して乾いた世界を追求しています。そして生涯、寒色系の白と青の色調に拘り、堅固な画面に構成された抽象画を描き続けました。

 今回は、23歳作「森に堕ちる」から68歳作「絶筆」に至る約30点を展示いたします。

展示作品 
「碑・立」「グラスボックス72-Ⅱ」「グラスボックス73-Ⅱ」「回帰・対話」など約30点
観覧料 一般500円 高・大学生300円 小・中学生200円
      (常設展も併せてご覧いただけます)

glassbox
グラスボックス74 油彩 162.1X130.3cm 1974

 大嵩禮造抽象画の歩み展に寄せて 理事長 児玉利武

「嗚呼悲しいかな」  禮造さん あなたがあの寒い日に旅立たれてからもう14年になりますね。

あなたとの出会いは確か昭和47年、県美術展の会場で私の前に颯爽と現れた貴方に「このグラスボックスの絵を描かれたのはあなたですね」と声をかけたのが最初でしたね。つまり、グラスボックスが縁結びの神様だった訳です。その頃、貴方の絵はグラスボックス・シリーズの真っただ中にあり、その幾何学的抽象画の鮮やかな色彩と造形の鋭さにすっかり心を奪われてしまいました。それは半世紀を経ても新鮮で、その魅力はいささかも衰えていません。

禮造さん、早速あなたの抽象画の力作を観て回りましょう。

渡り廊下から新館展示室に禮造さんの作品を代表する3シリーズの抽象画の大作が年次的に展示されています。

『碑のシリーズ』は最初期の20歳代に描かれた石文のシリーズです。白色に拘り乾いた世界を追求した、禮造さんの絵の原点とも言える堅固な構図の抽象画です。代表作「花の碑」を初め、師の海老原喜之助画伯に絶賛された第1回滞仏時代の作品も展示してあります。

『グラスボックス・シリーズ』は新進気鋭の30〜40歳代に描いた、文字通りガラスの箱シリーズです。ガラスの持つ無機質、冷たさや鋭さを表現して、堅固に画面構成されたハードエッヂな抽象画で、透明感のある白色と引き込まれるような青色の諧調の変化が美しい。

『回帰シリーズ』は50歳代から絶筆まで描いた最晩年のシリーズです。絵の原点に立ち帰るべく、堅固に構成された画面にナイフを使って透明感のある強烈な白と青色を厚く塗り、更にそれを削げるところまで削ぎ落とし、人間の心の中まで描こうとした半具象・半抽象画です。

あなたの絵の前にたつとその堂々たる新鮮さに圧倒されます。そしてあなたの顔と仕草が走馬灯のように私の脳裏を駆け巡り、あなたの高揚した声が聞こえてくるようです。「いっぺやいもした」と。

出会いから45年。 私の心はグラスボックスに囚われたままです。