2018.9.4(火) - 10.28(日) 『尾前喜八郎・土器への回帰展―土器を灰釉・金彩・銀彩で―

残暑もようやく和らぎ、澄んだ青空が秋を感じさせます。

「失敗の中から解決策をみつけるのが工芸の世界」「偶然を必然に変えるのが工芸」と語る尾前は、「均一でないものが面白い」とも述べています。今回の作品は、ろくろを使ったものは一点もなく、「紐づくり」と「叩きづくり」で形作られています。

縄文時代に思いを寄せ、身近にある素材の灰・土・漆、それらに古来より人類が珍重してきた金銀を駆使し、錬金術師の手により、瑞々しい土器が現代に蘇りました。

今年傘寿を迎える尾前喜八郎の渾身の新作展です。

「銀彩陶鐸」「灰釉深鉢」「灰釉渦巻文金泥壺」「黄釉刺突文金彩深鉢」他約32点

観覧料   一般500円 高・大学生300円 小・中学生200円(15名以上割引有)
         (常設展も併せてご覧いただけます)


 尾前喜八郎・土器への回帰展―土器を灰釉・金彩・銀彩で― に寄せて 理事長 児玉利武

敬愛する陶芸家、尾前喜八郎は灰釉・金彩・銀彩を使って、先史時代の土器を再び現代に甦らせました。

この度、児玉美術館では『尾前喜八郎 土器への回帰 釉彩・彩色陶芸展

―土器を灰釉・金彩・銀彩でー』を開催致します。

昨年の春、企画展の話が持ち上がり、一年余りの制作期間を経て、灰釉・金彩・銀彩を施した極めて意欲的な深鉢、壺、陶鐸、瓦、各種の貝殻などの作品32点が完成しました。出品される作品はすべて新作で、彼が陶芸の世界に入る切っ掛けになった、原点ともいえる土器への回帰を目指したものです。

2ケ月前に一枚の写真が届けられました。それは今回出品される銀彩陶鐸の写真です。形、肌色、風合い、全てが古代の銅鐸そのもので、堂々とした気品のなかに人を包み込むような和の雰囲気を持っていました。この展覧会に対する尾前の並々ならぬ意気込みを直感しました。

彼は1938年鹿児島市加治屋町に生まれ、県立甲南高校を経て、日大芸術学部デザイン科に学ぶ。卒業後、弥生遺跡や薩摩の古窯を廻り、土の温もりを感じさせる土器に触れて、陶芸に興味を持ちました。

1965年鹿児島市の生家に築窯して、陶芸の道に入る。土も釉薬の原料も身近にある自然のものを使って和の雰囲気を醸し出すような作品を作りました。

忽ち頭角を現し、県内・外の多くの美術展や工芸展で入選、受賞を果たしました。

1973年蒲生町の現在地に窯と住居を移し、地元の蒲生和紙を使って制作した、いわゆる彩色陶の作品は土器らしい風合いを持ち、日本伝統工芸展で高い評価を得ました。鹿児島陶芸展や南日本美術展の知事賞など数々の賞に輝き、1976年日本工芸会正会員に推挙されました。

デザイン科に学んだ彼は、今なお土器とデザインを融合させた現代の土器を追求し続けています。

共通の友人である故大嵩禮造さんも「道に迷ったら原点に帰れ」が口癖で1989年から14年間にわたり、彼の画業を代表する回帰シリーズを描き続けましたね。

今回の企画展が傘寿の記念になりますれば真に御同慶の至りです。

最後になりましたが、喜八郎さんおめでとうございます。

 尾前喜八郎 作品の紹介

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